BLOG

Gemini 4 Argonで熊本の中小企業の仕事はどう変わるか|料金・使い方

目次
  1. Gemini 4 Argonとは——「Pro」ではなく「Argon」
  2. どこで使える?いくら?——会社のGoogleアカウントで使えるかの判断表
  3. 社内テスト——熊本の仕事6題で確かめた
  4. テストから分かった使い方のコツ——Flashとの使い分け
  5. 熊本の会社の仕事はどう変わるか——「任せられる仕事の大きさ」が変わる
  6. 始め方3ステップ
  7. 注意点——正直なところ
  8. よくある質問
  9. まとめ——「Gemini 4にしたから正確になる」ではなく「任せる仕事の大きさが変わる」
  10. 参考にした情報

「Gemini 4が出たと聞いたが、うちの会社の仕事で何が変わるのか」「会社のGoogleアカウントで使えるのか」「月いくらかかるのか」。研修やセミナーの場でよく出る質問です。今回も同じ3つを、先に答えておきたいと思います。

2026年9月30日(米国時間)、Googleが新しい最上位モデル「Gemini 4 Argon(アルゴン)」を発表しました。発表の時点では一部のサイバー防御の担当者だけに提供され、10月13日(米国時間。日本語版の公式ブログは10月14日付)に開発者・企業・個人への一般提供が始まっています。Googleは、長く複雑な仕事を最後までやり切る力を打ち出していて、文章の指示に従う力も過去最高だと説明しています。

この記事では、①Argonとは何か、②どこで使えていくらか、③熊本の会社の仕事で何が変わるのか、④今すぐ何をすればよいか、の4つに順番に答えます。数字はGoogleの公式資料と、10月18日の午前に熊本の社内で行った実機テストだけを使っています。読者は、ITに詳しくない社長や総務・現場の責任者を想定し、専門の言葉は出るたびに一言で噛み砕きます。機能や提供範囲は2026年10月18日時点のもので、変わることがあります。

3分で分かる要点

  1. 結論から言うと、普段の仕事(電話メモの受付票、見積りの計算、売上表の集計、FAXの読み取り、長い資料から探す)は、今のGemini 3.8 Flashでもほぼ満点でした。社内テストでは「Gemini 4にしたから正確になる」という差は見えていません
  2. Gemini 4で変わるのは「1問1答の賢さ」ではなく「任せられる仕事の大きさ」です。資料の山から提案書まで、何十工程の作業を最後まで、というのがGoogleの打ち出しで、ここは今回の社内テストでは測っていません
  3. いちばんの発見は「考える深さ」です。Argonは初期設定だと考えずに即答し、条件10個のシフト表で3回とも違反。考える深さを「高」にすると3回とも正解でした(ただし1〜2分半かかります)
  4. 会社のGoogle Workspace(Business Starter・Standard・Plus、Enterprise)の標準契約では、Argonは使えません。使えるのは追加契約のAI Expanded Access(1日200回)か、個人向けのGoogle AI Pro(月2,900円)です。個人アカウントには社外秘を入れないでください
  5. API料金は11月30日までの導入価格で、12月1日から入力も出力も2倍になります。今の価格で予算を組まないことです

Gemini 4 Argonとは——「Pro」ではなく「Argon」

結論から言うと、Gemini 4 Argonは「Geminiの新しい世代の、最初の最上位モデル」です。それだけ聞くとよく分からないと思うので、まず名前から整理します。

これまでのGeminiは「3.1 Pro」「3.8 Flash」のように、世代の数字と、大きさを表す「Pro」「Flash」の組み合わせで呼ばれていました。今回は「4 Pro」ではなく「4 Argon」です。Argonは固有の名前で、Googleは「Gemini 4ファミリーの残りも順次出す」と書いているので、これから同じ世代の別の名前が増えていく、という位置づけかなと思います。

比べる相手は2つです。一つは前の世代の最上位Gemini 3.1 Pro。APIではプレビュー版のままで、最終更新は2026年2月なので、最上位の刷新はおよそ7か月ぶりです。もう一つは、多くの会社が普段使っているGemini 3.8 Flashです。会社の人にたとえると、次の表のようになります。

モデル会社でいえば公式の位置づけ
Gemini 4 Argon大きな案件を最後まで任せる新しい主力長く複雑な仕事。開発・法務・財務・サイバー防御・科学
Gemini 3.1 Pro前の世代のベテラン(プレビュー版のまま)前世代の最上位。最終更新は2026年2月
Gemini 3.8 Flash速くて安い実務担当普段使い。年内は入力0.75ドル・出力3.75ドル

Geminiの3つのモデルの位置づけ。Gemini 4 Argonは大きな案件を最後まで任せる新しい主力、Gemini 3.1 Proは前の世代のベテランでプレビュー版のまま、Gemini 3.8 Flashは速くて安い実務担当で普段使い。この記事は3つを同じ仕事で比べる

上の図が、この記事の地図です。後半の社内テストは、この3人に同じ仕事を頼んで比べています。

3.1 Proから何が変わったか

Googleの発表とモデルカード(モデルの仕様と安全性をまとめた公式の報告書)によると、変更点は次の6つに整理できます。

項目Gemini 3.1 ProGemini 4 Argon
作り前世代のモデル前のモデルの改造ではなく、新しく作られたモデル(専門家の組み合わせ型)
1回に書ける量(出力の上限)6万4千トークン100万トークン(Googleの発表では業界最大)
一度に読める量(入力の上限)1,048,576トークン(20万トークンを超えると単価が上がる)入力と出力の合計で1,048,576トークン
考える深さ初期設定で考えてから答える低・中・高の3段階から選ぶ。APIの初期設定ではほぼ考えずに即答した(社内テストの観測)
API料金(100万トークンあたり、入力と出力)2ドルと12ドル11月30日まで2ドルと10ドル。12月1日から4ドルと20ドル
知っている情報の期限—2026年3月まで

トークンはAIが文章の量を数える単位で、日本語ではおおむね1文字が1トークン弱です。「1回に書ける量が100万トークン」というのは、長い報告書や何十工程の作業の記録を、途中で切れずに一気に書ける、という意味です。Googleは「深く考えて何十万トークンも一気に書ける余裕があると、難しい問題を一度に解く深さが増す」と説明しています。入力は文字・画像・動画・音声・PDFを受け付け、出力は文字だけです。

もう一つ、文章の面でGoogleは「文章の指示に従う力が過去最高」「遠回しな言い方や繰り返し、決まり文句が減った」と書いています。X上でも「日本語が読みやすい」という声(@KutexKute)がありますが、これは個人の感想です。日本語だけの性能の公式な数字は、モデルカードにも評価方法の資料にもありません。

Gemini 3.1 ProからGemini 4 Argonへの変化6つ。新しく作られたモデル、1回に書ける量が6万4千から100万トークンへ、入力と出力の合計で約105万トークン、考える深さは3段階で初期設定は即答、料金は導入価格の後に2倍、知識の期限は2026年3月

この図は6つの変更点を1枚にしたものです。会社の仕事に直結するのは、書ける量、考える深さ、料金の3つだと思ってください。

公式の数字と第三者の数字

発表ページには、性能を示すテストの点数が並んでいます。先に前提を書いておくと、載っているのはGoogleが選んだテストです。なので「Googleの発表では」と主語を付けて読みます。

Googleの発表では、金融・開発・法務・税務の仕事を米国の経済への寄与で重み付けした指標(Vals Index)で1位、業務の自動化を端から端まで測る指標(AutomationBench)で51.3%の1位、実務の開発を測る指標(DeepSWE v1.1)で77.9%、長い動画の理解(LVBench)で91.7%、とされています。X上に転載された公式の比較表では19項目中14項目で首位、知識労働の指標でArgon 68.9%、Claude Opus 5.5が67.0%です。

第三者の測定もあります。Artificial Analysis(AIの性能を独立して測る機関)の総合指標では、Claude Opus 5.5が58、Argonが53でOpus 5.5が上です。プログラミングを任せる性能の指標では、Claude Sonnet 5.5が68点で1件約14ドル、Argonが64点で約5.8ドル、GPT-6.1 Solが63点で約1ドルでした。日本語で3つを動画で比べたチャエンさん(@masahirochaen)は、契約書チェックでArgonが7点中6点(他の2つは満点)、メール添削で「予定」を消してしまった例を挙げ、「王者奪還とまでは言えない」という結論です。

つまり「Googleの発表では多くの項目で首位、第三者の総合ではClaudeの最上位と拮抗」というのが、2026年10月18日時点の見え方です。ただ、この記事で言いたいのは順位ではありません。熊本の会社の仕事で何が変わるか、です。

どこで使える?いくら?——会社のGoogleアカウントで使えるかの判断表

ここが、この記事でいちばん先に確かめてほしいところです。結論から言うと、「会社のGoogle Workspaceの標準契約では使えない」「個人向けのGoogle AI Proなら使える」です。順番に表にします。

個人向けのプラン(Geminiアプリ)

出典はGoogleの料金ページ(2026年10月18日時点、ログインせずに表示した金額)です。ページに「税込」「税別」の表記はないので、表示どおりに書きます。

プラン月額(公式ページの表示)Argon
無料0円使えない
Google AI Plus725円使えない
Google AI Pro2,900円使える
Google AI Ultra(5xと20xの2段階)5xが14,500円、20xが32,000円使える

日本はGoogle AI Pro・Ultraの提供国に入っていて、日本語版の公式ブログにも「Pro・Ultraで使える」と書かれています。Geminiアプリと、検索のAIモード(検索結果をAIが答える機能)で使えます(AIモードでArgonを使える国の一覧は未確認です)。開発ツールのAntigravityはUltraだけです。

利用回数には上限があります。個人向けは「使った計算量」で上限が決まり、5時間ごとに回復し、週の上限もあります。Plusは標準の2倍、Proは4倍、UltraはProの5倍または20倍という倍率で、上限に達するとFlash-Lite(いちばん軽いモデル)に切り替わります。Argonを何回使えるかの具体的な回数は公表されていません。X上では「Proだと4〜5往復で5時間の上限に当たる」(@fusen74)「上限中は3.8 Flashまで使えなくなる」(@VVTypingghost、@tora_kappa)という声が出ていて、不満の中でいちばん多かったのがこの上限の話でした。個人の自己申告ですが、Pro契約で業務に組み込むつもりなら、上限の体感は先に確かめた方がよいかなと思います。

会社のGoogle Workspace

ここは一次情報が英語版のヘルプページにしかありません(日本語版は翻訳が追いついておらず、Argonの行がまだありません)。英語版の表をそのまま日本語にします。

契約プランArgon参考:ほかのモデル
Business Starter(Enterprise Essentialsなども同じ列)使えない—
Business Standard・Plus、Enterprise Standard・Plus使えないPro:4時間で25回、Thinking:1日300回
上の契約+AI Expanded Access(追加契約)1日200回までThinking:1日600回
上の契約+AI Ultra Access(追加契約。新規販売は終了)1日500回まで—

ポイントは3つです。一点目、標準契約では使えません。Business StarterでもStandardでもPlusでも、Enterpriseでも同じです。X上にも「会社のWorkspaceアカウントでは3.8 Flashと3.1 Proしか選べない」(@Nicolash4zp)という声があります。一方で「Workspaceで使えた」というコメントも別の場所にあり、契約内容で変わるので、自社の管理者に確認してください。

二点目、使うにはAI Expanded Accessという追加契約が要ります。付けられるのはBusiness Standard・Plus、Enterprise Standard・Plusだけで、Business Starterには付けられません。価格は公式ページに載っておらず、通貨と契約期間で変わるとだけ書かれています。円の金額は未確認です。18歳未満には割り当てできません。

三点目、AI Ultra Accessはすでに新規販売を終えています。2026年5月5日より前に年契約した会社だけが使え、7月7日以降は順にAI Expanded Accessへ切り替わります。これから契約する会社が選べる上位の追加契約はAI Expanded Accessだけです。

参考に、Workspace本体の日本向けの定価(公式ページの表示。月払いか年契約か、税込かどうかは未確認)は、Business Starterが1ユーザー月800円、Standardが1,600円、Plusが2,500円です。

API・Gemini Enterprise

自社の仕組みに組み込む「部品」として使う窓口がAPIです。モデルの指定名はgemini-4-argonで、無料枠では使えません(有料枠のみ)。有料枠では、入力も出力も「製品の改良に使われない」と規約に書かれています。日本はAPIの提供国に入っていて、利用は18歳以上です。

もう一つ、Google Cloudが企業向けに出している「Gemini for business」(中身はGemini Enterpriseという製品の各エディション)があります。Workspaceの契約とは別の製品で、Microsoft 365やSlackなど100以上のサービスとつながり、入力したデータが学習に使われないと明記されています。Argonは10月13日に一般提供が始まりましたが初期設定ではオフで、10月27日から自動でオンになります。データの保管・処理場所として選べるのは米国とEUだけで、日本(東京)はありません。Plusエディションを30日無料で試せます。

判断表——自社はどの入口か

以上をまとめると、熊本の会社がArgonを使う入口は、立場ごとに次のようになります。

自社の状況使う入口と月額の目安社外秘の扱い
まず個人で試したいGoogle AI Pro(個人アカウント)。月2,900円(公式ページの表示)入力内容が人の確認・改良に使われることがある。社外秘は入れない
会社のWorkspace(Standard、Plus、Enterprise)で使いたい管理者がAI Expanded Accessを追加契約。価格は未公表(通貨と契約期間で変わる)学習に使われない。1日200回まで
会社のWorkspaceがBusiness Starter標準でも追加契約でも使えないStandard以上への変更が前提
自社の仕組みに組み込みたいGemini API(有料枠)。使った分だけ。導入価格は11月30日まで有料枠は改良に使われない
全社の業務AI基盤として入れたいGemini Enterprise(Gemini for business の中身)。価格は未確認、Plusエディションは30日無料学習に使われない。保管場所は米国・EUのみ

会社のGoogleアカウントでGemini 4 Argonを使えるかの判断フロー。会社のアカウントなら、Business Starterは使えない。Standard・Plus・Enterpriseは追加契約AI Expanded Accessで1日200回まで。個人ならGoogle AI Proで使えるが社外秘は入れない。無料とAI Plusは使えない

この図は、上の判断表を「はい・いいえ」で辿れる形にしたものです。自社の契約がどこに落ちるか、管理者と一緒に指でなぞってみてください。

一つ大事な線引きがあります。個人向けのGoogleアカウントでは、入力した内容を人が確認したり、改良に使ったりする場合があると公式ヘルプに明記され、「機密情報は入力しないで」と書かれています。逆を返せば、会社の情報を扱うならWorkspaceの契約か有料APIを使う、個人アカウントでは公開済みの文章や架空の題材で練習する、という使い分けさえ守れば、月2,900円で今日から試せる、ということです。

API料金——12月1日から2倍

APIの料金は、100万トークンあたりの米ドルです。1ドル150円で円に直すと、入力2ドルは約300円、出力10ドルは約1,500円です。

区分11月30日まで(導入価格)12月1日から
入力2ドル4ドル
出力(考える過程の分も含む)10ドル20ドル
自動キャッシュ(同じ前置きの読み直し)0.10ドル0.20ドル
まとめて処理(Batch・Flex。安い代わりに遅い)1ドルと5ドル2ドルと10ドル
優先処理(Priority)3.60ドルと18ドル7.20ドルと36ドル

参考に、前世代の3.1 Proは入力2ドル・出力12ドルなので、導入価格のArgonは3.1 Proより出力が少し安く、12月からは3.1 Proより高くなります。3.8 Flashは年内が0.75ドルと3.75ドル、2027年1月から1.50ドルと7.50ドルです。

注意点が2つあります。一点目、「キャッシュ95%引き」は自動でかかるキャッシュ(暗黙キャッシュ)だけの話で、自分で指定する方式(明示キャッシュ)はArgonでは使えません。二点目、Google検索・Googleマップとの連携は月5,000回まで無料で、超えた分は1,000回ごとに14ドルです。

X上でも「12月から倍になるので、今の価格で予算を組まないこと」(@icyeos)という注意が出ています。

社内テスト——熊本の仕事6題で確かめた

ここからが、この記事の中心です。公式の数字は英語のテストが中心なので、「熊本の中小企業の日本語の仕事」で確かめました。先に条件を書きます。

  • 実施は2026年10月18日の午前、熊本の社内から。経路はGemini API(有料枠・自社のキー)
  • 比べたのはGemini 4 Argon(gemini-4-argon)、前世代の最上位Gemini 3.1 Pro(gemini-3.1-pro-preview)、普段使いのGemini 3.8 Flash(gemini-3.8-flash)の3つ
  • 設定は、特に書かない限り初期設定のまま。Argonの初期設定では、考える過程のトークンが記録されず、数秒で返ってくる「ほぼ考えずに答える」動きでした(考える深さを「高」にしたときだけ記録されました)。3.1 Proと3.8 Flashは初期設定で考えてから答えます
  • 費用は1ドル150円。料金は10月18日時点の公式で、考える過程の分も出力として計算しています
  • 題材はすべて架空です。登場する人名・店名・会社名は社内で作ったもので、実在の会社・個人の情報は使っていません
  • 全体で50回、約300円。小さな社内テストで、性能の順位を決める試験ではありません

WizTryの社内テスト6題。熊本弁の電話メモを受付票に、塗装の見積り計算とメール、土産物店の月別売上表で5問、手書き風FAX注文書の画像を受注データに、条件10個のシフト表、議事録180回分から3問。Gemini 4 Argon・3.1 Pro・3.8 Flashの3つで比べた

この図は、6つのテストで何を頼んだかの一覧です。上から順に、普段の事務、計算、表、画像、条件の多い仕事、長い資料、という並びです。

結果の一覧

仕事Argon3.1 Pro3.8 Flash
1 熊本弁の電話メモを受付票に2/2、12.3秒2/2、13.1秒2/2、9.1秒
2 塗装の見積り計算+お客様へのメール2/2、8.8秒2/2、17.8秒2/2、10.1秒
3 土産物店の月別売上表(6品目×12か月)で5問2/2、17.0秒2/2、48.1秒2/2、24.5秒
4 手書き風FAX注文書の画像を受注データに2/2、13.0秒1/2、14.4秒2/2、10.3秒
5 条件10個のシフト表(7人×1週間)0/3、4.6秒(考える深さ高なら3/3、103.6秒)3/3、78.9秒3/3、36.4秒
6 議事録180回分(80,929字)から3問2/2、5.0秒(考える深さ高でも2/2、96.1秒)2/2、10.3秒2/2、5.8秒

数字は「正解数/回数、平均の秒数」です。Argonは初期設定のまま(括弧内だけ考える深さ「高」)。1回あたりの費用は、後の「費用を『月の仕事』に直す」の表にまとめています。表を見て分かるのは、1〜4題と6題はほぼ全問正解(誤りは3.1 ProのFAXの1回だけ)で、大きな差が出たのは5題のシフト表だけ、ということです。以下、題ごとの見どころです。

1. 熊本弁の電話メモを受付票に

植木の田上さん(架空)がリフォーム会社に電話した内容を、そのまま受付票にする仕事です。「水の漏れよっと」「いっちょ割れとる」「おらんとです」「来てはいよ」などの熊本弁が混ざっています。引っかけは「蛇口の古かつは、なおしとってよか」の「なおす」で、熊本では「片付ける・しまう」の意味です。「修理する」と読むと誤りになります。

結果は、6回とも「なおす=片付ける」と正しく読み、方言の注意書きまで付けました。名前・電話番号・日時・駐車場所も全員正確です。細かい差は、古い蛇口を「処分してよい」のか「保管してほしい」のかの解釈が回によって分かれたことで、Argonの1回目は「処分せず保管」、3.1 Proの2回目は「引き取って処分してよい」と書きました。原文からはどちらとも取れるので、これは人が電話で確かめるべき点です。AIが受付票を作ってくれても、確認の電話は人の仕事として残ります。

2. 塗装の見積り計算とお客様へのメール

外壁塗装120平方メートル×3,800円、足場150平方メートル×900円、ただし「前回の足場が半分残っとるけん、組むのは半分でよか」、高圧洗浄は外壁と同じ面積×250円、リピートなので税抜から3万円引き、という条件です。正解は、足場75平方メートルで67,500円、税抜523,500円、消費税52,350円、税込575,850円です。

6回とも全部正解でした。「足場は半分」の読み取りも全員ができていて、お客様へのメールも全員そのまま使える水準です。見積りの計算は、どのモデルでも差が出ませんでした。

3. 土産物店の月別売上表で5問

熊本の土産物店(架空)の月別売上CSVを渡し、5問に答えさせました。品目はからし蓮根・いきなり団子・馬刺し・陣太鼓・晩白柚ゼリー・球磨焼酎の6つで、4月始まりの年度です。「年間でいちばん売れた品目と金額」「上期と下期の差」「全品目の年間合計」「前月から最も減った月」のような問いで、正解は、馬刺し12,970,000円、6月2,469,000円、上期2,329,000円・下期2,575,000円で差が−246,000円、年間40,429,000円、9月に2,050,000円減、です。

6回とも5問すべて正解でした。差が出たのは速さで、Argonが17.0秒、3.8 Flashが24.5秒、3.1 Proが48.1秒です。費用は、Argonと3.8 Flashがほぼ同じ約2.5円、3.1 Proは約16円でした。

4. 手書き風FAX注文書の画像を受注データに

レストラン(架空)から精肉店へのFAX注文書を手書き風フォントで作り、少し傾けてノイズを入れた画像を渡しました。明細5行で、豚バラの数量「10」を二重線で消して「12」に訂正、備考が3行あります。

Argonと3.8 Flashは2回とも完璧で、訂正を12と読み、「要確認」の欄に訂正があった事実まで書きました。一方、3.1 Proの2回目は、画像にない誤字(「お願いいします」)を読み取り、それを「誤記と思われる」と報告しました。ありもしない誤りを作った、ということです。1回目は完璧だったので、たまに起きる種類のものです。もっともらしい誤り(ハルシネーション)は、最上位のモデルでも、前の世代でも消えていない、というのがここの教訓です。

5. 条件10個のシフト表——Argonの落とし穴

熊本市内の土産物店(架空)の7人・1週間・朝夕2人ずつのシフト表を、条件10個で組ませました。全員週4回、同じ日に朝夕の両方は不可、田中さんは火水休み、松本さんは朝のみ、緒方さんは夕のみ、坂本さんは土日両方、新人の村上さんと永田さんは同じシフト不可、各シフトにレジ締めできる人を1人以上、4連勤禁止、西さんは月曜休みで金曜は夕、の10個です。答えは約1,352万通りあるので、正解は1つではありません。条件を全部守れているかはプログラムで自動判定しています。

設定正解平均の時間1回の費用
Argon(初期設定)3回中0回4.6秒0.40円
Argon(考える深さ:低)3回中1回7.3秒—
Argon(考える深さ:中)3回中1回4.9秒—
Argon(考える深さ:高)3回中3回103.6秒(66〜162秒)約9.8円
3.1 Pro(初期設定)3回中3回78.9秒約18.4円
3.8 Flash(初期設定)3回中3回36.4秒約2.7円

Argonの初期設定は、3回とも条件違反でした。4〜5秒で返ってくるのですが、「木曜の夕にレジ締めできる人がいない」(2回)、「坂本さんが5回・永田さんが3回」(1回)と、10個の条件のどれかを落としています。考える深さを低・中にしても3回中1回。高にして初めて3回とも正解になりました。ただし高は1回あたり66〜162秒、平均で103.6秒かかり、3.8 Flashの36.4秒より遅く、費用も約9.8円と3.8 Flashの約2.7円より高くなります。

読み方はこうです。Argonは「考える深さ」を上げないと、条件を全部守る仕事で取りこぼします。高にすれば確実ですが、1〜2分半かかります。X上でも「Argonを選んでも、考える深さが既定の低のままのことがある」(たか田さん @daifukujinji)という注意が出ています。なので、Argonを選んだら、考える深さも一緒に確かめてください。この記事でいちばん覚えて帰ってほしいのは、ここです。

条件10個のシフト表でのGemini 4 Argonの結果。初期設定は3回中0回正解で約5秒、考える深さ低は1回、中は1回、高は3回中3回正解だが平均103.6秒。3.8 Flashは初期設定で3回中3回正解・36.4秒。Argonを選んだら考える深さも確かめる

この図は、考える深さを上げるにつれて正解が増え、時間も増える様子を階段で表したものです。即答するArgonは、条件の多い仕事では「考えていない」可能性を疑ってください。

6. 議事録180回分(80,929字)から3問

架空のリフォーム会社の週次営業会議の議事録180回分(80,929字)を一度に渡し、3問に答えさせました。10月8日のClaude Haiku 5.5の記事と同じ資料です。問1は「第119回の『くまもと住まいフェア2026』の費用は?」(正解38万円。前年の2025が22万円でひっかけ)、問2は「『阿蘇ファーム』が初めて議題になったのは第何回?」(正解56回)、問3は「『決定:保留』になった議題はいくつ?」(正解7件。資料全体を数える必要がある)です。

4通りとも2回とも全問正解でした。Argonは初期設定でも約5秒で8万字を読み切り、数える問3も正解です。10月8日のテストでは、考えない設定のClaude Haiku 5.5が数える問題を3回中2回間違えていたので、ここはArgonの地力が出た形です。費用はこの題だけArgonが高めで、1回16.82円、3.8 Flashは6.93円でした。入力が多いため単価の差がそのまま出ています。なお、同じ文章をArgonは55,921トークン、3.1 Proと3.8 Flashは58,167トークンと数え、Argonの方が約4%少なく数えました。

費用を「月の仕事」に直す

1回あたりの費用だけでは実感が湧かないので、12月1日の値上げ後も含めて並べておきます。前提は、社内テストの実費、1ドル150円、Argonは初期設定(5題だけ考える深さ:高)です。

仕事Argon(11月30日まで)Argon(12月1日から、2倍)3.8 Flash
電話メモを受付票に0.55円約1.1円0.56円
見積り計算+メール0.66円約1.3円0.64円
売上表で5問2.43円約4.9円2.55円
FAX注文書の読み取り0.98円約2.0円0.81円
シフト表(Argonは考える深さ:高)9.76円約19.5円2.72円
8万字の議事録から3問16.82円約33.6円6.93円

普段の仕事は、1回1円未満から数円で、Argonと3.8 Flashはほぼ同じです。差が開くのは、考える深さを高にする仕事と、長い資料を読ませる仕事で、12月からはその差が2倍に広がります。費用の問題ではなく「どの仕事にArgonを使い、どの仕事は3.8 Flashで済ませるか」の問題だと分かります。

社内テスト6題の1回あたりの費用の比較。普段の仕事4つはGemini 4 Argonと3.8 Flashがどちらも1円未満から数円でほぼ同じ。シフト表(考える深さ高)はArgon約9.8円・Flash約2.7円、8万字の議事録はArgon約16.8円・Flash約6.9円。12月1日からArgonは2倍

この図は、6題の費用を2本の棒で並べたものです。左の4題は棒がほとんど同じ高さで、右の2題だけArgonの棒が伸びている、という見え方になります。

テストから分かった使い方のコツ——Flashとの使い分け

6つのテストをまとめると、使い方のコツは3つです。

一点目、普段の仕事は3.8 Flashで十分です。電話メモ、見積り、売上表、FAX、長い資料から探す、の5つで、ArgonとFlashはどちらも全問正解でした(3.1 ProはFAXで1回だけ誤り)。安くて速い方を使わない理由がありません。

二点目、Argonを使うなら考える深さを確かめる。初期設定は即答で、条件の多い仕事では取りこぼします。高にすると確実ですが、1〜2分半かかります。

三点目、Argonの本当の出番は、今回のような1問1答ではなく、「資料の山から成果物まで」「何十工程の作業を最後まで」という長い仕事です。これはGoogleの打ち出しで、今回の社内テストでは測っていません。次の章で、公式と第三者の実例を出典付きで並べます。

仕事向くのは理由
電話メモ・問い合わせの受付票3.8 Flash6回とも正解で、費用も速さもほぼ同じ
見積りの計算と定型のメール3.8 Flash6回とも正解
売上表・CSVの集計どちらも可正解は同じ。速さはArgonが上
FAX・手書きの画像の読み取りどちらも可ArgonとFlashは2回とも完璧。3.1 Proは1回誤り
条件の多いシフト表・割り当て3.8 Flash(初期設定)か、Argon(考える深さ:高)Argonの初期設定は0/3。高は3/3だが1〜2分半
8万字級の資料から探す・数える3.8 Flash(費用が約4割)正解は同じ。急ぐならArgonは約5秒
資料の山から提案書まで、長い工程を最後までArgon(Googleの説明)出力100万トークン・長い工程向けの設計。社内テストでは未測定
前世代3.1 Proを使っているArgonか3.8 Flashへ3.1 Proは遅く高く、FAXで1回ありもしない誤字を作った

X上では「計画はArgon、実行はFlash、仕上げはClaude」という使い分け(テンペさん @HimazinProducer)も出ていますが、これも個人の工夫です。基本的には、上の表の「向くのは」の列のとおり、仕事ごとに決めてください。

Gemini 4 ArgonとGemini 3.8 Flashの使い分け早見表。普段の事務・計算・表・画像はFlashで十分、条件の多い割り当てはFlashかArgonの考える深さ高、資料の山から成果物までの長い工程はArgon(Googleの説明、社内テストでは未測定)、3.1 Proからは乗り換え

この図は、仕事の「大きさ」で2つのモデルを分けたものです。左の小さな仕事はFlash、右の大きな仕事はArgon、真ん中の条件の多い仕事は深さ次第、という見方です。

熊本の会社の仕事はどう変わるか——「任せられる仕事の大きさ」が変わる

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。先に熊本の構造から書きます。

熊本の構造——人は増えていない、吸い寄せられている

熊本銀行の資料(2025年1月22日時点)によると、JASM(菊陽町)の雇用計画は第1工場1,700名、第2工場1,700名の合計3,400名です。第1工場は2024年12月に量産を始め、第2工場は2027年末の量産予定。投資額は第1工場9,800億円、第2工場2兆850億円で、九州全体の半導体関連投資は公表ベースで6兆円以上、熊本県内の半導体関連の工場・開発棟の新増設は80件超にのぼります。

一方で、熊本県の人口は2000年から2024年で8%減(1,859千人から1,706千人)です。増えているのは菊陽町(+57%)、合志市(+29%)、大津町(+28%)と、進出地の周辺だけ。商業地の地価上昇率(2023年から2024年)は大津町が33%で全国1位、菊陽町が31%で全国2位でした。

読み筋はこうです。県内で人が増えたのではなく、限られた人材が半導体とその周辺へ吸い寄せられている。なので、事務職やパートの募集まで競合が増え、熊本の中小企業の採用は構造的に難しくなっています。この状況で「人を増やして仕事を回す」のは、年々難しくなる一方かなと思います。

もう一つの数字が、帝国データバンクの「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月調査、有効回答10,312社)です。生成AIを「活用している」のは大企業46.5%、中小企業32.4%、小規模企業28.0%。中小企業の3社に2社はまだ使っていません。しかも「活用している」の多くは社員がチャットAIを触っている段階で、仕事を任せる仕組みまで進んだ会社はさらに少ない、というのが私たちの見方です。逆を返せば、いまはまだ横並びの手前で、半年早く始めれば差がつく時期です。

熊本の人手不足の構造。JASMの雇用計画は第1工場と第2工場で3,400名、県内の半導体関連の新増設は80件超(熊本銀行、2025年1月時点)。県の人口は2000年から2024年で8%減、菊陽町は57%増。中小企業の生成AI活用は32.4%(帝国データバンク、2026年3月調査)

この図は、熊本の人の流れと、AI活用の現在地を1枚にしたものです。人は半導体へ、AIはまだ3社に1社、という2つの矢印で見てください。

何が変わるのか——「1問1答」から「任せる仕事」へ

社内テストで見たとおり、1問1答の仕事はもう今のGemini 3.8 Flashでほぼ満点です。なので、Gemini 4で変わるのは「質問に答える賢さ」ではなく、「どれだけ大きな仕事を、人が途中で手を入れずに任せられるか」です。それだけ聞くとよく分からないと思うので、Googleと第三者が示している実例を、出典と確度を付けて並べます。

実例内容出典・確度
Geminiアプリのデモプロジェクトの資料がばらばらに入ったフォルダから、顧客向けの提案スライドを作り、メールまで送り、今後の依頼に備えて定期の自動処理も設定Google公式ブログ(10月13日)。公式のデモ
NASAの公開アーカイブ約8万ファイルから、デザインの決まりどおりのGoogleスライドを数分で作成@Google のX投稿。公式の主張(未検証)
写真と寸法から3Dソファの脚のデザイン案を作り、写真と寸法のスケッチから3Dプリンタ用のファイルを出力Google公式ブログ(10月13日)。公式のデモ
文字の詰まったPDF自分のペースで読み進められる対話型のWebアプリに変換@GeminiApp のX投稿。公式のデモ
Box(文書管理サービス)実際の企業文書を使ったテストで、3.1 Proの71%から85%へ。データ分析が+23ポイント、資料からの報告書作成が+15ポイントBoxのブログ。第三者(ベンダー自身のテスト)
ServiceNow3.8 Flashより作業の成功率が約20%向上。特に人事と顧客対応。社内ヘルプデスクの1次窓口に採用Google Cloudのブログ(10月14日)。各社の主張
Isomorphic Labs(創薬)PDFや特許の情報をまとめる作業が、数週間から数時間にGoogle公式ブログ(10月13日)。各社の主張
経理・財務の用途帳簿の突き合わせ、スプレッドシートの数式作成、予算と実績の差の分析を自動化できるGoogle Cloudのブログ。顧客事例ではなく製品の説明

共通しているのは、「資料の山」「何十工程」「最後まで」という言葉です。Boxの業種別の数字(官公庁76%から94%、医療57%から87%、法務64%から75%)も、文書の多い業種ほど伸びています。Googleの説明では、Argonは「システムの境界を守り、見つからなかったことは正直に報告し、取り返しのつかない手順の前には人に確認する」ように訓練され、開発のテストで近道をしようとする割合が2%に下がった、とされています。任せる仕事が大きくなるほど、この「勝手に進めない」性質が効いてきます。

正直なところ、熊本の企業がArgonを使った事例は、2026年10月18日時点では公式にも第三者にもX上にも存在しません。中小企業・地方企業・製造や建設や介護の業種での事例も見つかりませんでした。なので、ここから先は「事例」ではなく「活用イメージ」です。事例のように読まないでください。

Gemini 4 Argonで変わるのは任せられる仕事の大きさ。これまでは1問1答で人が間に入る形、これからは資料の山を渡して提案書・メール・定期処理まで一気に任せる形。公式デモと第三者の測定(Box 71%から85%)が根拠で、熊本の事例はまだ無い

この図は、「1問1答」と「任せる仕事」の違いを、人が間に入る回数で表したものです。右側の形が、Googleがデモで見せている使い方です。

業種別の活用イメージ(事例ではありません)

熊本でよく見る6つの業種で、「今のFlashで足りる仕事」と「Argonで任せられるようになるかもしれない仕事」を分けて書きます。後者はGoogleの説明と公式デモ、第三者の測定から置き換えたイメージで、実際に動かして確かめたものではありません。時間の数字は書きません。

業種今の3.8 Flashで足りる仕事(社内テストで確認した型)Argonで任せられるようになるかもしれない仕事(活用イメージ)
製造FAX・手書きの注文書を受注データに。日報の要約写真と寸法から治具や部品の3Dデータを起こして試作用のファイルまで(公式デモの型)。工場の生産計画の改善(Googleの説明に一文だけ。数値なし)
建設・リフォーム電話メモの受付票。見積りの計算とお客様へのメール現場写真・図面・過去の見積りの山から、提案書と工程表の下書きまで一気に(Geminiアプリのデモの型)
食品・農業月別売上表の集計。問い合わせの仕分け出荷記録・気象・取引先の注文履歴の山から、来期の作付けや仕込みの計画書の下書き(資料からの報告書作成が+15ポイント、というBoxの測定の型)
観光・小売条件つきのシフト表(Flashの初期設定で3/3)。口コミの分類複数の宿泊プラン・写真・過去の販促資料から、季節ごとの告知スライドとメールの下書きを定期的に(公式デモの型)
医療・介護予約変更の連絡文の仕分け。記録の要約計画書・記録・法令の資料を突き合わせた帳票の下書き(Boxの医療分野の測定57%から87%の型。個人情報の扱いはWorkspace契約か有料APIが前提)
士業・事務8万字級の議事録や契約書から探す・数える契約書を条文ごとの表にして論点を抜き出し、決算の要点をまとめる(X上の報告の型。最終判断は専門家、と投稿者自身も書いている)

左の列は、社内テストで3.8 Flashが全問正解した型の仕事です。右の列は、正直なところ、Googleのデモと第三者の測定から「熊本の仕事に置き換えると」と想像したものに過ぎません。ただ、置き換えてみると共通点が見えます。右の列は全部「資料の山を渡して、成果物を受け取る」形で、人が間に入る回数が減っています。人を増やせない熊本の会社にとって、増やすべきなのは「AIに1問聞く回数」ではなく「AIに丸ごと渡す仕事の数」だ、というのが私の見方です。

熊本の6業種でのGemini 4 Argonの活用イメージ。製造は写真から3Dデータ、建設・リフォームは写真と図面から提案書、食品・農業は出荷記録から計画書、観光・小売は販促資料から告知と定期処理、医療・介護は記録と法令から帳票、士業・事務は契約書を条文の表に。すべて活用イメージで事例ではない

この図は、6つの業種の活用イメージを一覧にしたものです。図の下に「活用イメージ・事例ではありません」と入れてあるのは、そのままの意味です。

始め方3ステップ

まず一点目、入口を決める。会社のWorkspaceがBusiness Standard・Plus・Enterpriseなら、管理者にAI Expanded Accessの追加契約を相談してください(価格は未公表なので、見積りを取る形になります)。Business Starterなら追加契約も付けられません。個人で先に試すなら、Google AI Pro(月2,900円)です。この場合は社外秘を入れず、公開済みの文章か架空の題材で練習します。

二点目、考える深さを高にして、条件の多い仕事を1つ頼む。社内テストのシフト表のように、条件を箇条書きで10個並べ、「全部守ったか、1つずつ確認して書いてください」と頼みます。初期設定のまま即答してきたら、考える深さの設定を見直してください。同じ仕事を3.8 Flashにも頼んで、答えと時間を見比べると、自社の仕事でどちらが向くかが分かります。

三点目、測ってから広げる。同じ仕事を3回以上流し、条件を守れた回数、人が手直しに使った分数、かかった時間、費用の4つを数えます。差が出なければ3.8 Flashで、Argonでないとできない仕事が見つかったら、その仕事だけArgonに回します。逆を返せば、この測り方さえ作っておけば、12月の値上げ後も、次のGemini 4ファミリーが出ても、同じ手順で判断できるということです。

Gemini 4 Argonの始め方3ステップ。1 入口を決める(Workspace Standard以上はAI Expanded Access、個人はGoogle AI Proで社外秘を入れない)、2 考える深さを高にして条件の多い仕事を1つ頼み3.8 Flashと見比べる、3 測ってから広げる(守れた回数・手直し・時間・費用の4つ)

この図は3ステップの流れです。最初の一歩は、自社のWorkspaceの契約名を確かめるところからです。

注意点——正直なところ

正直なところ、Argonにも落とし穴があります。社内テストで見えたことと、公式の注記、先行して試した方々の声を合わせて、9つにまとめます。

注意点何が起きるか対策
社外秘の扱い個人のGoogleアカウントでは、入力内容を人が確認したり改良に使ったりする場合がある(公式ヘルプに明記)会社の情報はWorkspace契約か有料API。個人アカウントは公開済みの文章で練習
利用回数の上限個人向けは計算量で上限が決まり、5時間ごとに回復。X上では「Proは4〜5往復で上限」「上限中は3.8 Flashまで使えない」の声。Workspaceは1日200回業務に組み込む前に、自社の使い方で上限の体感を確かめる
12月1日の値上げAPIは入力も出力も2倍。3.1 Proより高くなる今の価格で予算を組まない。社内テストの費用は2倍で見る
初期設定は考えない条件10個のシフト表で3回とも違反条件の多い仕事は考える深さを高に。アプリでも設定を確認
もっともらしい誤りモデルカードが既知の限界として明記。社内テストでは3.1 Proが画像にない誤字を作った。はてなブックマークにも「要約が全部作り話だった」という声人が最後に読む。根拠の箇所を一緒に出させる
日本語の性能の公式数値はないモデルカードにも評価方法の資料にも、日本語や多言語の性能スコアは載っていない「日本語に強い」は公式には言えない。自社の文書で測る
英語のみ・米国のみの機能Mac版アプリのAntigravityは英語だけ。外部アプリ連携の多くは米国・英語だけ。UltraのGemini Agentも米国・英語だけ日本で使えるのは、アプリのチャット・AIモード・API・Gemini Enterpriseが中心
データの保管場所Gemini EnterpriseとGoogle Cloud経由では、選べるのは米国・EU・globalだけで東京はない保管場所に決まりがある業種は、規程と照合してから
年齢と契約の条件仕事用アカウント・API・AI Expanded Accessは18歳以上。AI Ultra Accessは新規販売終了未成年の社員への割り当ては不可。追加契約はExpanded Accessの一択

もう一つ、速さについて。Argonは考えない仕事では3つの中でいちばん速く、8万字の議事録を約5秒で読み切りました。ただ、X上には「速くても、指示を忘れたり誤ったりして人の確認が増えると、速さが帳消しになる」(@shiroikoibitoa)という声もあります。個人の体感ですが、社内テストのシフト表で起きたことと同じ構造です。「速い=正しい」ではなく、「速いときは、考えていないかもしれない」と疑ってください。

Gemini 4 Argonの注意点を8行のチェックリストに。社外秘は入れない、利用回数の上限、12月1日から2倍、初期設定は考えない、もっともらしい誤り、日本語の公式数値なし、英語のみの機能、保管場所と契約の条件

この図は、上の9つの注意点を8行のチェックリストにまとめたものです(保管場所と、年齢・契約の条件は1行にしています)。会社で使い始める前に、担当者と一緒に一度なぞってください。

よくある質問

熊本の会社はGemini 4 Argonを使うべきですか

「今すぐ全部をArgonに」ではないかなと思います。社内テストでは、電話メモ・見積り・売上表・FAX・長い資料から探す、という普段の仕事は今のGemini 3.8 Flashで十分でした。Argonを使うべきなのは、条件の多い仕事を考える深さ「高」で任せるときと、資料の山から成果物までの長い工程を任せるときです。後者はGoogleの説明で、自社の仕事で測ってから判断してください。

会社のGoogleアカウントで使えますか

Google Workspaceの標準契約(Business Starter・Standard・Plus、Enterprise)では使えません。Business Standard・Plus、Enterprise Standard・Plusに追加契約「AI Expanded Access」を付けると1日200回まで使えます。Business Starterには追加契約を付けられません。価格は公式ページに未掲載なので、管理者がGoogleか販売代理店に確認してください。契約内容で見え方が変わる、という声がX上にもあります。

無料で使えますか

使えません。無料プランとGoogle AI Plus(月725円)ではArgonは選べず、APIも無料枠では使えません。個人で使うならGoogle AI Pro(月2,900円)からです。

月いくらかかりますか

個人向けはGoogle AI Proが月2,900円、Ultraが月14,500円(5x)と32,000円(20x)の2段階(公式ページの表示。税込かどうかの表記はありません)。会社向けの追加契約AI Expanded Accessは価格が未公表です。APIは使った分だけで、社内テストでは普段の仕事が1回1円未満から数円、8万字の資料を読ませて1回約17円でした。12月1日からAPIは2倍です。

今のGemini(3.8 Flash)で足りるのではないですか

普段の仕事は、足ります。社内テストの6題すべてで3.8 Flashは全問正解でした(シフト表も初期設定のまま3回とも正解)。普段の仕事では、費用も速さもArgonとほぼ同じです。足りないのは「資料の山から成果物まで」のような大きな仕事で、ここはGoogleの説明にもとづく話です。まずは3.8 Flashで普段の仕事を任せる仕組みを作り、Argonはその先、という順番をおすすめします。

日本語は大丈夫ですか

公式には、日本語だけの性能の数字はありません。社内テストでは、熊本弁の「なおす=片付ける」を6回とも正しく読み、方言の注意書きまで付けました。X上にも「日本語が読みやすい」という感想があり、日本語の質への明確な不満は見つかりませんでした。一方で、3.1 Proが画像にない誤字を作った例もあるので、人が読む前提は外さないでください。

社外秘の情報を入れてもいいですか

個人のGoogleアカウントには入れないでください。公式ヘルプに「機密情報は入力しないで」と明記され、人が確認したり改良に使ったりする場合があります。Workspace契約、有料API、Gemini Enterpriseは学習に使われないと明記されています。会社で使う前に、入れてよい情報の線を社内で決めてください。

Gemini 3.1 Proを使っていますが、乗り換えるべきですか

乗り換えてよいと思います。社内テストでは、3.1 Proは3つの中でいちばん遅く高く、FAXの読み取りで1回ありもしない誤字を作りました。3.1 ProはAPIではプレビュー版のままで、最終更新は2026年2月です。普段の仕事なら3.8 Flash、条件の多い仕事や長い工程ならArgon(考える深さ:高)へ、が現実的な乗り換え先です。

まとめ——「Gemini 4にしたから正確になる」ではなく「任せる仕事の大きさが変わる」

最後に3行でまとめます。

  1. Gemini 4 Argonは、2026年9月30日に発表、10月13日(米国時間。日本語版の公式ブログは10月14日付)に一般提供が始まった新しい最上位モデルです。変わるのは1問1答の賢さではなく、「資料の山から成果物まで」「何十工程を最後まで」という任せられる仕事の大きさで、ここはGoogleの説明です
  2. 社内の実機テストでは、普段の仕事(電話メモ・見積り・売上表・FAX・長い資料)は今の3.8 Flashでもほぼ満点でした。Argonは初期設定だと即答し、条件10個のシフト表で3回とも違反。考える深さを高にすると3回とも正解でしたが1〜2分半かかります(1ドル150円、全体50回・約300円の小さなテスト)
  3. 会社のWorkspaceの標準契約では使えず、追加契約のAI Expanded Access(1日200回)か、個人向けのGoogle AI Pro(月2,900円)が入口です。個人アカウントに社外秘は入れないこと、APIは12月1日から2倍になること、この2つを覚えて帰ってください

人を増やせない熊本の会社にとって、増やすべきなのは「AIに1問聞く回数」ではなく「AIに丸ごと渡す仕事の数」です。まずは、自社のWorkspaceの契約名を確かめるところから始めてみてください。

WizTryでは、熊本を中心に、生成AIを実務で使うための企業研修と、AIエージェントの導入支援を行っています。「どの仕事から任せればよいか」「社外秘の線をどう決めるか」といった相談は、熊本の生成AI研修やお問い合わせから、お気軽にお寄せください。

※本記事は2026年10月18日時点の公式情報と社内の実機テストにもとづきます。料金・仕様・提供範囲は変わることがあります。最新の情報はGoogleの公式ページでご確認ください。テストの登場人物・店名・会社名はすべて架空です。

参考にした情報

一次情報(Google公式)

熊本の数字

第三者の測定・先行記事

Xの投稿(個人の感想・自己申告を含む)

関連するご相談はお気軽に

お問い合わせする →
CONTACT

まずは、貴社の課題をお聞かせください。

「何から始めればいいか分からない」という段階のご相談も歓迎です。貴社の業務内容に合わせて、研修・AIエージェント導入・補助金活用まで含めた最適なプランをご提案します。