7月28日の熊本地震で被災された皆さまに、改めて心よりお見舞い申し上げます。
地震の翌日から無償で運営している支援サイト「くまもと被災者支援ナビ」について、2つのご報告があります。
1つ目は、八代市の公式サイト・公式LINE・公式Xから、市民の皆さまへの案内が始まったことです。きっかけは、困っておられる方に使っていただけないかと考え、私から八代市長の小野泰輔様へ直接このサイトのURLをお送りしたことでした。
2つ目は、利用が大きく増えていることです。8月2日は、1日だけでのべ3万回以上ひらかれました。いまも伸び続けています。
多くの方に使っていただけることを嬉しく思うと同時に、正直なところ、同じだけの責任も感じています。この記事では、サイトの概要、八代市での経緯、情報を集めて裏取りしているAIエージェントの仕組み、そして運営者としての想いを、順番にご報告します。
どんなサイトか
くまもと被災者支援ナビは、令和8年7月熊本地震で被災された方のための、無料の情報案内所です。県・市町村・国の公式発表と、施設・企業が自身で発表した支援情報を集めて、スマートフォンで探しやすい形に整理しています。
主な内容は次の4つです。
- 給水所・お風呂・炊き出し・井戸・ガソリン・災害用トイレを1枚にまとめた支援場所マップ
- きょうの給水・断水情報(すべて出典と発表日時つき)
- り災証明書の申請ガイドと、もらえる支援のかんたん診断
- 21市町村の緊急情報への直通リンク、通れる道マップ、災害ごみの出し方
広告なし・登録不要です。一度ひらけば端末に保存されるので、電波の弱い場所でもそのまま読めるように作っています。
いちばん使われているのは支援場所マップです。給水の「水」、お風呂の「湯」、井戸の「井」と、種類ごとに色分けしたピンを押すと、その場で利用時間と発表元を確認でき、そのままGoogleマップの道案内につながります。

断水中の自宅で、地震の翌日に公開しました
このサイトを作り始めたのは、地震の翌日、7月29日です。
当時は私の自宅マンションも断水していました。水の出ない部屋で、Claude CodeとCodexという2つのAIの道具を使って制作し、その日のうちに公開しています。どちらも、人が指示を出すと、AIがプログラムを書いて動かすところまで自分で進めてくれる開発の道具です。
10年前の熊本地震のとき、私は行政の情報が複数のページに分かれていて、必要な情報を探すのにとても苦労しました。今回も同じことが起きると分かっていたので、探す側ではなく、まとめる側に回ろうと決めました。AIがここまで進んだいまなら、被災した本人でも、断水の部屋からでも、1日あれば公開まで持っていけます。逆を返せば、それができる技術を持っている会社が熊本にあるのに動かない理由はない、と思ったということです。
私からお送りしたURLが、市の公式案内になるまで
作っただけでは、必要としている方には届きません。そこで、私から八代市長の小野泰輔様へ、直接このサイトのURLをお送りしました。
8月1日の夜、サイトをご覧になった小野市長が、ご自身のXで支援ナビを紹介してくださいました。「本市のHPでもリンクを張りたい」という言葉を添えてくださっています。

その後、八代市役所で掲載内容の正確性をご確認いただいた上で、八代市の公式サイトに紹介ページを作っていただきました。
八代市公式サイト「くまもと被災者支援ナビについて」 https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00326806/index.html
いまでは、八代市の公式LINEと公式Xが応急給水のお知らせを出すのにあわせて、支援ナビの支援場所マップへのリンクを添えてくださるようになりました。多い日は1日に何度もです。市の発表とセットで「場所は地図で確かめる」という流れができ、市民の皆さまへの情報導線のひとつとして使っていただいています。


行政の中の方が内容を確かめて、公式の情報導線として採用してくださる。民間の、しかもAIが情報を集めるサイトに対しては、かなり思い切ったご判断だったと思います。小野市長と八代市役所の皆さまの動きの速さには、運営している私たちがいちばん驚きました。この場を借りて御礼申し上げます。
数字で見る現在地
利用の推移も、包み隠さずご報告します。
- 公開4日目の8月1日までで、のべ約2万3千回
- 八代市の公式案内が始まった8月2日は、1日だけで3万回以上
- 見に来てくださる方の8割以上がスマートフォン
なお、この数字はCookieを使わない匿名の集計によるもので、個人を特定するものではありません。診断などに入力した内容が外部へ送られることもありません。
数字そのものより大事なのは、その一回一回の向こうに、いまから水を汲みに行く方や、お風呂を探している方がいることです。その一回に応えられるかどうかが、このサイトの価値のすべてだと考えています。
10体以上のAIエージェントが、2時間おきに裏取りする仕組み
ここからは、中身の仕組みの話です。
このサイトの情報収集は、AIエージェントのチームがやっています。AIエージェントというのは、指示を出すと自分で調べて、自分で判断して、作業まで進めるAIのことです。

見に行っている先は、大きく3つあります。
- 災害救助法が適用された21市町村の、公式ページと公式X
- 自衛隊・海上保安庁・国土交通省・熊本県といった公的機関の発表
- お風呂の無料開放などを自身で発表してくださる、施設・企業の公式SNS
ここで守っているルールが1つあります。出典を1件ずつ実際にひらいて、本文を確認できた発表だけを載せる、というルールです。SNSで見かけた情報は、どれだけ役立ちそうに見えても、発表元の公式ページまでたどり着けなければ載せません。基本的には、すべての掲載情報に出典リンクと発表日時を付けています。万が一情報が古くなったときに、利用者の方がご自身で確かめ直せるようにするためです。
そして、この作業を1体のAIに任せていません。役割を分けた10体以上のAIエージェントでチームを組んでいます。

全体の段取りを決める指揮官がいて、その下で、市町村ごと・分野ごとに担当が分かれて同時に調べに行きます。集めた情報は裏取り担当が出典と突き合わせ、確認を通ったものだけを反映担当がサイトに載せる。人間の編集部と同じ分業を、AIのチームで組んでいる仕組みです。1日を通すと、のべ数十体のAIエージェントが動いています。
更新の頻度は、土台になる全面点検が毎日2〜3回。そこに、新しい発表を見つけたときの臨時更新と、熊本市の応急給水の発表を15分ごとに照合する自動チェックが重なります。なので、動きの多い日中は、おおむね2時間おきに最新の状態へ更新されています。実際、7月31日は1日で16回更新しました。
とはいえ、AIに任せれば完成、という仕事ではありませんでした。町のページではなく水道企業団のサイトに先に給水情報が出ていて見逃しかけたこともあれば、同じ市でも速報と詳報でページが分かれていることもあります。つまずくたびに、見に行く先と確認のルールをチームの手順書に書き足す。研修でよくお伝えしている「AIは新人と同じで、教えた分だけ賢くなる」を、毎日自分たちで実践している状態です。
嬉しさと、同じだけの責任
改めてになりますが、多くの方にご利用いただいていることを、本当に嬉しく思っています。同時に、非常に強い責任も感じています。
このサイトに載っているのは、給水の場所と時間、お風呂に入れる場所、支援制度の期限といった、生活に直結し、場合によっては命に関わり得る情報です。この記事を書いている8月3日も、熊本には最高気温40度を超える予報が出ています。断水が続く地域で、この暑さです。もし古い給水情報のせいで、空のポリタンクを持った方を誰もいない場所へ向かわせてしまったら。私たちはその重さの上で、このサイトを運営しています。
なので、間違えない仕組みと、間違いにすぐ気づける仕組みの両方を、毎日ブラッシュアップし続けています。それでも、正直なところ、完璧だとは言い切れません。
万が一、誤った情報や古い情報を見つけられた場合は、メールでもお電話でも構いませんので、ご連絡いただけますと幸いです。すぐに確認して直します。
- メール: info@wiztrydx.com
- 電話: 080-6414-9171(代表・末松)
そして、もしお知り合いに水や手続きで困っている方がいらっしゃったら、このURLを渡していただけると嬉しいです。
WizTryは、熊本でAI研修とAI導入支援をしている会社です。このサイトは仕事ではなく、私自身も被災した1人として運営しています。これからも、被災された皆さまのお役に立てるよう尽力してまいります。
余震がまだ続いています。どうかご安全に。熊本の一日も早い復旧を心から願っています。
WizTry株式会社 代表取締役 末松 光太郎