7月28日の熊本地震で被災された皆さまに、改めて心よりお見舞い申し上げます。
いちばん多かった日、このサイトは1日で3万回以上、およそ3秒に1回のペースでひらかれていました。給水所やお風呂などの支援場所は、地図からのべ1万8千回以上さがされています。地震の翌日から無償で運営している支援サイト「くまもと被災者支援ナビ」の、実際の利用の記録です。
この間に、八代市の公式サイト・公式LINE・公式Xから市民の皆さまへの案内が始まり、テレビ朝日の番組、テレビ熊本の「英太郎のかたらんね」、生活情報メディアの「リビング熊本」でもご紹介いただきました。熊本県国際協会の外国人住民の方向けページにも掲載されています。
この記事は、その御礼と、運営からの公式のご報告です。サイトの概要、9日間の実績、八代市の公式案内になった経緯、報道でのご紹介、情報を集めて裏取りしている仕組み、作った経緯まで、この1本で全体が分かるようにまとめます。
どんなサイトか、30秒でご説明します
くまもと被災者支援ナビは、令和8年7月熊本地震で被災された方のための、無料の情報案内所です。県・21市町村・国の公式発表と、施設・企業が自身で発表した支援情報だけを集めて、スマートフォンで探しやすい形に整理しています。
主な内容は次の4つです。
- 給水所・お風呂・炊き出し・協力井戸・災害用トイレ・ガソリンを1枚にまとめた支援場所マップ
- きょうの給水・断水情報(すべて出典と発表日時つき)
- り災証明書の申請ガイドと、もらえる支援のかんたん診断
- 21市町村の緊急情報への直通リンク、通れる道マップ、災害ごみの出し方
広告なし・登録不要です。一度ひらけば端末に保存されるので、電波の弱い場所でもそのまま読めるように作っています。ふりがな付きの、やさしい日本語のページもあります。
実際のスマートフォンの画面がこちらです。左がトップページ、右がいちばん使われている支援場所マップです。種類ごとに色分けしたピンを押すと、その場で利用時間と発表元を確認でき、そのままGoogleマップの道案内につながります。

9日間の実績を、数字でご報告します
利用の状況は、これまでも包み隠さずお伝えしてきました。8月6日昼の時点で、次のようになっています。
- 公開からの9日間で、ページ表示はのべ約10万2千回、訪問は約5万3千回
- いちばん多かった8月2日は、1日で3万回以上。24時間を通して、およそ3秒に1回ひらかれていた計算になる
- ピークを過ぎたいまも、毎日1万回以上ひらかれている
- 8割以上がスマートフォンからの利用
- 支援場所マップでは、給水所やお風呂などの場所の詳細が、地図からのべ1万8千回以上ひらかれている
広がり方も変わってきました。公開直後はXやInstagramなどSNSからの流入が中心でしたが、いまいちばん多いのはGoogleなどの検索で、次いで八代市の公式サイトからです。「拡散で一時的に見られた」段階から、「困ったときに検索して使う場所」として定着する段階に入ってきたのかなと思います。
なお、これらの数字はCookieを使わない匿名の集計によるもので、個人を特定するものではありません。診断などに入力した内容が外部へ送られることもありません。
数字そのものより大事なのは、その一回一回の向こうに、いまから水を汲みに行く方や、お風呂を探している方がいることです。ここは公開初日から変わらず、運営の前提に置いています。
八代市の公式案内になっています
作っただけでは、必要としている方には届きません。公開直後、困っておられる方に使っていただけないかと考え、私から八代市長の小野泰輔様へ、直接このサイトのURLをお送りしました。
8月1日の夜、サイトをご覧になった小野市長が、ご自身のXで支援ナビを紹介してくださいました。「本市のHPでもリンクを張りたい」という言葉を添えてくださっています。
その後、八代市役所で掲載内容の正確性をご確認いただいた上で、八代市の公式サイトに紹介ページを作っていただきました。給水場所を地図で見られるなど情報が見やすく集約されている、として、市から市民の皆さまへ「ご活用ください」と案内してくださっています。

いまでは、八代市の公式LINEと公式Xが応急給水のお知らせを出すのにあわせて、支援ナビの支援場所マップへのリンクを添えてくださるようになりました。多い日は1日に何度もです。市の発表とセットで「場所は地図で確かめる」という流れができ、先ほどの流入元の話のとおり、いまでは八代市の公式サイトが検索に次ぐ入口になっています。
行政の中の方が内容を確かめて、公式の情報導線として採用してくださる。民間の、しかもAIが情報を集めるサイトに対して、思い切ったご判断だったと思います。小野市長と八代市役所の皆さまの動きの速さには、運営している私たちがいちばん驚きました。改めて御礼申し上げます。
テレビと情報誌でご紹介いただきました
この1週間で、報道・メディアの皆さまに相次いで取り上げていただきました。
8月4日、地震から1週間の節目に、テレビ朝日の番組で「被災者への支援 広がる」という話題の中でご紹介いただきました。取材では、開発の経緯と、情報の集め方をご説明しています。

放送では、このサイトの中身を「不確かだったり古い情報を発信しない仕組み」という言葉で紹介していただきました。私たちが公開初日からいちばん大事にしてきた部分を、そのまま言葉にしていただけたことを嬉しく思っています。
翌8月5日には、テレビ熊本(TKU)の「英太郎のかたらんね」で放送していただきました。前日に弊社オフィスで収録いただいたもので、実際のPC画面をお見せしながら、使い方と裏側の仕組みをご説明しています。

また、生活情報メディア「リビング熊本」のアプリでも、「役立つ!熊本地震 21市町村の情報ぜんぶ」という記事でご紹介いただきました。特長を丁寧にまとめてくださっています。
災害の情報は、必要としている方に届いてはじめて意味があります。テレビや誌面という、私たちだけでは届かない経路で伝えてくださった報道各社の皆さまに、この場を借りて御礼申し上げます。
外国人住民の方への入口も広がっています
もうひとつ、静かですが大事な広がりがありました。熊本県国際協会の「2026年7月28日の熊本地震について」というページの中で、県の防災情報サイトと並べて、支援ナビをご案内いただいています。

このページは、やさしい日本語で書かれ、多くの言語への自動翻訳に対応した、外国人住民の方向けの入口です。支援ナビ側にも、ふりがなと平易な言葉で書いた「やさしい日本語」のページを用意しています。日本語の情報を読み解くのが難しい方にも、給水やお風呂の場所が届く経路がひとつ増えたことを、ありがたく思っています。
改めて、作った経緯です
はじめてこのサイトを知った方も多いと思うので、経緯を短くご説明します。
7月28日の夜、私は熊本市内での打ち合わせ直後、立体駐車場の5階に停めた車の中で地震にあいました。熊本市西区の自宅マンションは断水し、食器はほぼすべて割れました。
翌29日は、予定していた打ち合わせがすべてキャンセルになりました。10年前の熊本地震のとき、行政の情報が複数のページに分かれていて、必要な情報を探すのにとても苦労した経験があります。今回も同じことが起きると分かっていたので、断水中の自宅で朝から設計を始め、その日の13時ごろに最初の版を公開しました。
制作に使ったのは、Claude CodeとCodexという、AIエージェントと呼ばれるタイプの開発の道具です。人が言葉で指示を出すと、AIがプログラムを書いて動かすところまで自分で進めてくれます。AIがここまで進んだいまなら、被災した本人でも、断水の部屋からでも、半日で公開まで持っていけます。逆を返せば、それができる技術が熊本にあるのに動かない理由はない、と思ったということです。
公式発表だけを、AIのチームで集めて裏取りしています
テレビの取材でいちばん聞かれたのは、「AIは間違えるのでは」というご質問でした。大事な点なので、仕組みをそのままご説明します。
設計の最初に決めたルールは、口コミを集めるサイトにはしない、ということです。載せるのは、県・21市町村・国の公式ページと、施設・企業が自身で発表した支援情報だけ。出典を1件ずつ実際にひらいて、本文を確認できた発表だけを掲載し、基本的にはすべての情報に出典リンクと公式の発表日時を付けています。
その上で、この仕組みの新しいところは3つあるかなと思います。
1つ目は、1体のAIではなく、役割を分けたAIエージェントのチームで動かしていることです。

司令塔のAIが手順書を読んで段取りを決め、その下でリサーチ担当のAIが最大16体、市町村ごと・分野ごとに手分けして公式発表を調べに行きます。集まった情報はチェック役が出典と突き合わせ、新しい種類の情報や少しでも不確かな情報は、必ず人間の私が出典を読んでから公開しています。未確認の情報をAIが勝手に公開しない設計です。

2つ目は、人手では追えない量を、リアルタイムに近い頻度で追い続けていることです。確認先は、21市町村・県・国の公式ページだけで約120ページ・約60ドメイン。そこに自治体や公的機関、施設・企業の公式SNSが加わり、掲載情報に紐づく出典URLは300本を超えています。この全体を定時で毎日3回点検し、熊本市の応急給水の発表は15分ごとに照合。発表の多い日は臨時更新が重なり、多い日は1日16回更新しました。公開からの9日間で、情報の反映と機能改善をあわせた更新は199回。1日も欠かしていません。同じことを人手でやるなら数十人のチームが必要で、その規模になると連絡の行き違いが増えて、この更新頻度はかえって出せないと思います。
3つ目は、集めて並べるだけで終わらせず、公式情報をもとに資料を自作して、わかりやすい形に直して発信していることです。行政の発表は文字が中心で、給水所は普段行く場所ではないため、文字を読んでから自分で地図アプリに貼り付けて調べ直すことになりがちです。なので支援ナビでは、発表を地図のピンに置き直し、り災証明に必要な写真の撮り方は図解画像にし、支援制度は5つの質問に答えるだけのかんたん診断にし、ふりがな付きのやさしい日本語ページも作りました。こうしたページやボタン、図解画像の制作までAIと一緒にやっているのが、このサイトの特徴です。
正直なところ、間違いもありました。地図のピンが同じ名前の別の施設を指していたことがあり、掲載中の全地点を別の方法で照合し直す自動監査の仕組みを作りました。八代港の給水支援の実施主体を取り違えて掲載し、訂正したこともあります。「間違いゼロ」と言うのではなく、間違いが被災者の方の実害になる前に見つけて直す。その仕組みを毎日足し続けることが、このサイトの運営そのものだと考えています。
御礼と、お願い
公開から9日、たくさんの方に使っていただき、行政や報道の皆さまにも支えていただきました。八代市の皆さま、報道各社の皆さま、そしてURLを大切な方に送ってくださった一人ひとりの皆さまに、心から御礼申し上げます。
同時に、のべ10万回という数字の分だけ、責任も感じています。万が一、誤った情報や古い情報を見つけられた場合は、メールでもお電話でも構いませんので、ご連絡いただけますと幸いです。すぐに確認して直します。
- メール: info@wiztrydx.com
- 電話: 080-6414-9171(代表・末松)
断水や手続きは、まだこれからが本番です。もしお知り合いに水や手続きで困っている方がいらっしゃったら、このURLを渡していただけると嬉しいです。
WizTryは、熊本でAI研修とAI導入支援をしている会社です。このサイトは仕事ではなく、私自身も被災した1人として運営しています。これからも、被災された皆さまのお役に立てるよう尽力してまいります。
余震がまだ続いています。どうかご安全に。熊本の一日も早い復旧を心から願っています。
WizTry株式会社 代表取締役 末松 光太郎