Claude Coworkに続いて、ChatGPT Work、そしてGemini Spark。2026年7月に入ってから、大手3社の「仕事を任せられるAIエージェント」が立て続けに実務レベルで揃いました。
一つひとつのニュースは追ったけれど、結局うちの会社はどれを入れればいいのか——ここ2週間、この質問を本当によく受けます。
結論から言うと、3つは競合というより役割分担です。無理にどれか1つに絞る必要はありませんが、最初の1つは会社の性格でほぼ決まります。順番に整理していきます。
なお、本文の内容は2026年7月22日時点の公開情報に基づきます。料金や対応プランは変わりやすい領域なので、導入前には公式ページで最新の条件を確認してください。
一言で違いをつかむ——「秘書」「同僚」「常駐スタッフ」
まず、3つの立ち位置を身近な人にたとえて整理します。
一つ目、ChatGPT Workは「頼めば納品してくる秘書」です。何かを依頼するとブラウザや連携アプリを横断して調べ、文書・スプレッドシート・スライドを整った形で仕上げてきます。
二つ目、Claude Coworkは「自分のPCの中で働く同僚」です。デスクトップの隣に座って、フォルダを開き、ファイルをいじり、テストして仕上げてくれるイメージです。
三つ目、Gemini Sparkは「クラウドに常駐する遠隔スタッフ」です。パソコンの電源を切っても24時間動き続け、朝出社したら結果が届いているタイプです。
それだけ聞くとよく分からないと思うので、社内の人に置き換えます。ChatGPT Workは秘書課、Claude Coworkは隣のデスクの若手、Gemini Sparkは深夜まで対応してくれるアウトソース先。頼み方も、期待する速度も、任せられる仕事の性質も全部違います。
事実ベースで比べる——料金・得意仕事・提供形態
2026年7月22日時点の公開情報を、実務目線で並べます。
| 項目 | ChatGPT Work | Claude Cowork | Gemini Spark |
|---|---|---|---|
| 提供開始 | 2026年7月9日 | 2026年1月(4月に有料プラン全面) | 2026年7月16日に日本語対応 |
| 使うのに要るプラン | 無料含む全プラン(機能上限あり) | Pro(月20米ドル)以上 | Google AI Ultra(月14,500円)以上 |
| 動く場所 | デスクトップアプリ・ブラウザ・モバイル | 自分のPC(macOS/Windows) | Googleのクラウド上(24時間稼働) |
| モバイル操作 | Web版・アプリで完結 | Dispatch経由で指示だけできる | スマホから見て指示できる |
| いちばん得意な仕事 | 資料作成・調査レポート・数字の集計 | ファイル操作・PC作業の自動化 | メール返信・予定調整・情報収集の常駐 |
表を見ながら、1社ずつもう少し深く触れます。
一つ目、ChatGPT Work。最大の入りやすさは、無料プランでもデスクトップアプリから使える点です。依頼を出すと、ブラウザで調べ、連携したGoogle DriveやSharePointの中を横断して情報を集め、最後にWord・Excel・PowerPoint相当のファイルを納品してきます。既存のChatGPT契約に含まれるので、追加費用が発生しないのも導入判断がしやすいところです。
二つ目、Claude Cowork。自分のPCのファイルを直接操作するので、雑多な作業の自動化にとにかく強い。会議録のフォルダを丸ごと渡して「月末の要約と、案件別のToDoリストを作って」と頼めば、フォルダを一件ずつ開いて仕上げてきます。7月にはスマホから指示だけ送れるDispatchが加わり、外出中に「今から2時間、あの作業やっといて」と投げられるようになりました。
三つ目、Gemini Spark。特徴はとにかく常駐です。PCを閉じても、寝ていても、クラウド上の仮想マシンで動き続けます。「毎日18時に受信メールを整理して、返信の下書きまで作っておいて」のような、定期+長時間の仕事に向いています。ただし料金は他の2つより頭ひとつ高く、Google AI Ultraの月14,500円契約が入口です。
自社に合うのはどれか——3つの質問で決める
頭では違いが分かっても、実際に選ぶ場面では迷います。なので、機械的に絞れる3つの質問を用意しました。
一つ目の質問。今、社内で一番使われているメール・カレンダーはどれですか。Google Workspaceが中心ならまず候補はGemini Spark。Microsoft 365中心ならChatGPT Work。両方混在で、まずはPC作業の自動化から入りたいならClaude Cowork。既存の基盤とAIエージェントの距離が近いほど、初期の抵抗が減ります。
二つ目の質問。任せたい仕事は、PCの中の作業ですか、社外の情報収集ですか、あるいは日々の連絡調整ですか。手元のファイルを触る仕事(帳票、契約書、議事録の再整理など)ならClaude Coworkが手っ取り早い。Web上を調べ回って資料化する仕事(競合調査、業界動向のまとめ)ならChatGPT Work。日常メールの下書きや予定調整のような「あとで自動でやっといて」系はGemini Spark。
三つ目の質問。まず何人で試しますか。1〜2人で試すなら、料金の軽い順に触るのが失敗しません。無料で入れるChatGPT Work、次に月20米ドルのClaude Cowork Pro、最後に月14,500円のGemini Spark Ultra、の順で1週間ずつ回してみてください。
逆を返せば、この3つの質問に迷いなく答えられないうちに全社導入を決めるのは、まだ早いです。最初は現場の2〜3人で回して、90日で判断材料を集めてから経営判断でも遅くありません。
始め方——最初の90日で組む3ステップ
導入自体は難しくありませんが、順番を間違えると「試したけど何も残らなかった」で終わります。私が受講いただいた企業にお伝えしている手順は3つです。
第一ステップは、業務の棚卸しです。エージェントに任せたい仕事を10個、紙に書き出します。この10個は、次の3条件で選びます。定期的に発生する(月次以上)、担当者の作業時間が読める(30分以上)、成果物のフォーマットが決まっている。3つ揃わない仕事に任せると、まず失敗します。
第二ステップは、10個のうち3つを実際にエージェントへ投げてみることです。うまく仕上がるものと仕上がらないものが必ず出ます。その差を観察するのが目的です。指示の具体度、必要なファイルの置き場所、判断の分岐——ここが分かってくると、残り7つも自然と回るようになります。
第三ステップは、社内共有です。試した3つのうちうまくいった手順を、チームの誰かに引き継ぎます。ここで初めて「個人の便利ツール」から「会社の仕組み」に変わります。ここまで来て、ようやく2社目・3社目のエージェントを追加検討していい段階です。
まずはこの90日を1周してから、他の2社を評価する。焦って3つ同時に導入すると、社内が疲れます。基本的にはこの順番でうまくいきますが、万が一、既にどれか1社を試しているなら、そのまま棚卸しから入って構いません。
正直な話——今の落とし穴と、選び方のコツ
良いことだけを書くと信じてもらえないと思うので、私が使っていて気になる点も3つ、正直に書きます。
一つ目、どのエージェントも判断ミスをします。Web上の情報を集めるとき、古い情報を新しい情報だと勘違いすることがあります。決算資料・法令・料金表など、正確さが命の場面では、必ず人間が最後に確認する運用にしてください。「AIが出してきたから正しい」で流したときの事故は、後から取り返すのが大変です。
二つ目、社内データへのアクセス設計は後回しにできません。エージェントが強力な分、見せてはいけないフォルダに触らせない設計が要ります。最初は個人フォルダの範囲、慣れてきたら共有フォルダの一部、と段階的に広げるのが安全です。管理者向けの権限設定は3社ともまだ発展途上で、今後半年で機能追加が続くはずです。
三つ目、料金体系がとにかく変わりやすい。Gemini Sparkは公開当初「Ultraのみ」ですが、下位プランへの拡大が示唆されています。ChatGPT WorkもWeb版とモバイル版の対応プランが段階的に広がっている最中です。半年後に振り返ると、今日書いた条件はかなり変わっている可能性があります。私自身、3ヶ月ごとに導入企業と一緒に契約プランを見直す運用にしています。
正直なところ、私も最初に3社を触り比べたときは、機能一覧に振り回されて何が向いているのか分からなくなりました。整理し直して腹落ちしたのは、「派手な機能」ではなく「自社の基盤と地続きか」「任せたい仕事の性質に合うか」「使い始めるハードルを下げられるか」の3つで決める、というシンプルな軸に戻ったときです。
AIエージェントは、一度慣れると「前の働き方には戻れない」体験になります。ただ、最初の1社を選ぶ判断は、慌てて出さなくても大丈夫です。無料で試せるChatGPT Workから触ってみて、社内の相性が見えてから次を選ぶ、で十分間に合います。
熊本県内の中小企業で実際にAIエージェントの導入を進めた事例は、導入実績のページでも紹介しています。「うちの業種ならどれから?」の判断に迷ったら、熊本のAIエージェント導入支援のページに、最初の1体の選び方と進め方をまとめています。まずは自社の1本目を、一緒に決めましょう。