7月20日から、Claudeの最上位モデル「Fable 5」が、月額プラン(MaxとTeamの上位プラン)に追加費用なしで含まれるようになりました。ニュースとしては地味に見えますが、私はこれを「AIに仕事を任せる働き方が、ようやく月額の範囲に降りてきた節目」と受け取っています。
というのも、私の会社ではAI社員が毎日働いています。毎朝7時30分、誰も指示していないのに動き出し、夜23時55分に日報を書いて1日を終えます。冗談でも比喩でもなく、実際の運用の話です。
この記事では、その裏側を実際の数字ごと公開しながら、次の3つの疑問に答えます。
- AIに仕事を任せるとは、何をどこまで任せられるのか
- 費用はいくらかかるのか
- プログラミングができない会社でも作れるのか
うまくいった話だけではフェアではないので、同期が3日間止まっていたのに誰も気づかなかった話など、弊社の失敗談も隠さず書きます。内容は2026年7月22日時点の公式情報と、弊社で実際に動いている仕組みがもとです。先にひとつだけお伝えすると、始めるだけなら月3,000円ほどのプランで今日から試せます。ここから順番に説明します。
「聞くAI」と「任せるAI」は別物です
結論から言うと、ChatGPTやGeminiに質問して答えをもらう使い方と、AIに仕事を任せる使い方は、同じAIでも別物です。
それだけ聞くとよく分からないと思うので、たとえ話をします。聞くAIは、カウンター越しの案内係です。何を聞いても丁寧に答えてくれますが、カウンターの内側から出てきて、あなたの机の書類を触ることはありません。任せるAIは、席とパソコンを与えた新入社員です。会社のフォルダを開いて、資料を読んで、ファイルを作って保存するところまで自分でやります。
この「任せるAI」の代表が、Claude Code(クロードコード)というツールです。名前にCode(プログラム)と付いているので専門家向けに見えますが、実体はパソコンの中のフォルダを開いて、ファイルを読み書きし、作業を最後まで実行するAIです。黒い画面だけでなく、ふつうのデスクトップアプリやブラウザからも使えます。
なので、議事録のファイルを渡して「要点をまとめて」も頼めますし、資料のフォルダを渡して「先月の報告書と同じ形式で今月分を作って」も頼めます。逆を返せば、フォルダを与えない限り、AIはあなたの会社のことを何ひとつ知らないままです。ここが今日いちばん大事な前提になります。

実録・AI社員の1日——弊社で毎日動いている仕事
弊社は熊本の小さな会社で、企業向けの生成AI研修とAI導入支援をしています(累計90社以上)。その会社の裏側が、いまこうなっています。
まず、AI社員の1日の時刻表です。
- 5時30分(月・水・金) ブログ担当が記事を書き、決めておいた検査を通して公開まで済ませる
- 7時30分 秘書役が「承認待ちのメール下書き・返信していないメール・今日の締切」を1枚にまとめて報告してくる
- 7時50分 SNS担当がその日の投稿を出す(文体と内容のルールは事前に決めてある)
- 10時 点検係が、社内資料の古くなった箇所を洗い出す
- 毎時20分 会議係が終わったばかりの打ち合わせを確認し、次のアクションとお礼メールの下書きを作る
- 17時50分 SNS担当が夕方の投稿を出す
- 22時30分 情報収集係が、私が日中に「気になる」と印を付けた記事や動画を要約して資料室へ入れる
- 23時30分 会議係がその日のZoom録画を整理し、決定事項とTODOをダイジェストにする
- 23時55分 日報係が1日の作業記録から日報を書いて締める
週単位・月単位の仕事もあります。毎週月曜の朝は1週間の発信の振り返りレポート、火曜と金曜はGoogleの店舗情報ページ向けの投稿文づくり、毎月1日はニュースレターの下書き。さらに、2分ごとに資料の変更を自動保存する係もいます。定時の仕事は全部で18本(毎日9本・毎週5本・毎月1本・常駐2本など)。直近2週間の記録を数えると、会社の資料への保存・更新は279回あり、うち約4割(104回)は、人間が何も指示していない時間帯にAIだけで動いたものでした。成果物の置き場には、研修資料・見積・提案書・議事録など、すでに25社分のフォルダが並んでいます。
ちなみに弊社では、AI社員に名前を付けています。メール担当の文屋(ふみや)、研修資料担当の紙谷(かみや)、SNS担当の小鳥遊(たかなし)、夜中に日報を書く夜船(よふね)——現在10名。遊びに見えると思いますが、「1人に1つの担当を持たせる」設計を分かりやすくするための工夫です。担当を曖昧にしたまま何でも頼むと、AIも人と同じで仕事が雑になります。

正直なところ、最初からこう回っていたわけではありません。弊社の資料室には、AIの仕事への赤入れをルールとして書き足した跡が何十箇所も残っています。その積み重ねの結果が、いまの時刻表というところです。

1つの仕事がどう流れるか——「承認の関所」を最初に決める
時刻表だけ見ると「勝手に動いて大丈夫なのか」と思われるはずです。なので、1つの仕事の流れを最初から最後まで見てください。会議のフォローを例にします。
打ち合わせが終わると、会議係のAIが録画と文字起こしを確認します。まず資料室のルールを読み、次に「決定事項・宿題・期限」を整理し、参加者へのお礼メールの下書きまで作ります。ここまでが全自動です。ただし、メールは下書きフォルダに置かれるだけで、送信されません。翌朝7時30分、秘書役が「承認待ちの下書きが3件あります」と私に報告し、私は中身を確認して、直すところがあれば直して、送信ボタンだけ押します。
つまり弊社の設計は「AIが最後まで走り、外に出る直前に必ず人間の関所を通る」です。関所は3種類だけに絞っています。
- 外に出るもの(メール・SNS・公開文書)——人間が承認して送信する
- お金と契約(見積・請求・申込)——人間が数字を検算して確定する
- 初めてやる種類の仕事——最初の1回は人間が横で見る
逆を返せば、この3つ以外は任せ切る、と決めています。関所を増やしすぎると人間が渋滞の原因になり、少なすぎると事故が起きます。この線引きを最初に紙に書くことが、AI社員づくりの実質的なスタートです。

仕組みの正体は「会社の資料室」——特別なシステムではありません
種明かしをすると、弊社のAI社員の本体は、高価なシステムでもオーダーメイドの開発でもなく、ただのフォルダとファイルの集まりです。
弊社にはAI社員が読む「会社の資料室」フォルダがあり、中身は405個のメモファイル。構造は3層だけです。
- 全社ルール(11個)——「メールの返信は必ず過去のやりとりを引用する」「ログイン情報には触らない」など、誰が読んでも守れる決まりごと
- 部署(4つ)——研修・営業・マーケティング・バックオフィス。それぞれに部署のルールが1枚
- 担当ごとの仕事手順書(13枚)——見積の作り方、日程調整の段取り、スライドの作り方。新入社員に渡す業務マニュアルと同じ
AI社員は、仕事のたびにこの資料室を読んでから作業に入ります。つまり弊社で起きているのは「AIが賢いから会社が回る」ではなく、「資料室が揃っているから、どのAIが来ても同じ品質で働ける」という状態です。
この資料室は、作って終わりの倉庫ではありません。会議係が毎晩その日の打ち合わせのダイジェストを書き足し、日報係が1日の記録を残していくので、放っておいても会社の記憶が毎日積み上がっていきます。人間の会社で言う「あの件、誰か経緯を知ってる?」が、フォルダを検索すれば出てくる状態です。
メモの置き場所には、Obsidian(オブシディアン)という無料のメモアプリを使っています。選んだ理由は1つで、メモの実体が「ただのテキストファイル」としてパソコンに残るからです。特別な形式ではないので、Claude Codeがそのまま開いて読めます。
逆を返せば、あなたの会社に業務マニュアルや議事録がすでにあるなら、AI社員の教科書は半分できています。ゼロから何かを発明する話ではありません。

作り方3ステップ——今日から始める場合
弊社の形をそのまま真似る必要はありません。最小の形は3ステップでできます。
手順1: フォルダを1つ作り、「会社の事実」を1枚書く
パソコンに「AI資料室」フォルダを作り、メモを1枚だけ入れます。書くのは、会社の基本情報、商品・サービス、お客様への言葉遣い、やってはいけないこと。この章の最後にコピペで使える雛形を置いておきます。15分で書ける粗さで大丈夫です。
手順2: Claude Codeを入れて、そのフォルダを開く
Claudeの有料プラン(Proなら月20ドル・日本円でおよそ3,000円)に入り、パソコン版のアプリを入れます。やることは4つだけです。
- claude.com でProプランに登録する
- デスクトップアプリ(Windows/Mac)を入れる
- アプリを起動してサインインし、Code(コード)の画面を開く
- 「フォルダを開く」で、手順1で作った「AI資料室」を指定する
プログラミングの環境構築は要りません。ブラウザ版もあるので、アプリを入れにくい会社のパソコンでも試せます。
手順3: 仕事を1つ頼み、直した点をメモに書き足す
「この議事録を要約して、参加者へのお礼メールの下書きを作って。言葉遣いはルールのメモに従って」のように頼みます。出てきたものには、直したい点が必ずあるはずです。ここが分かれ道で、口頭で直して終わりにせず、直した内容をルールのメモに1行書き足してください。弊社ではこれを「赤入れの還元」と呼んで、全作業の締めにしています。同じ指摘を二度しなくて済むようにする——AI社員の「教育」は、これがすべてです。
実例を1つ。弊社の研修資料担当(紙谷)に最初にスライドを作らせたとき、文字が小さくて読みにくいものが上がってきました。そこで手順書に「本文の文字は32pt以上。入り切らなければ小さくせず、ページを分ける」と1行足しました。それ以降のスライドは全部読みやすくなり、同じ赤入れは一度もしていません。教育とは、この1行の積み重ねです。

最初の1枚の雛形です。そのままコピーして、中身を自社に書き換えてください。
会社の基本ルール
会社の事実
・社名/所在地/事業内容:(3行で) ・主な商品・サービスと価格帯: ・よくあるお客様と、よくある依頼:
文章のルール
・お客様への文面は「です・ます」。絵文字は使わない ・社内向けのメモは箇条書きでよい
やってはいけないこと
・お金と契約の数字を、人の確認なしで確定させない ・お客様の名前が入った情報を、この資料室の外に出さない ・メールやSNSの「送信」は行わない(下書きまで)
迷ったら
・判断に迷ったら作業を止めて、選択肢を2つ出して相談する

おまけ: 最初の1週間で使える「頼み方」3本
頼み方にもコツがあります。新入社員への依頼と同じで、完成の形・使う材料・やらないことの3点を伝えると、精度が一気に上がります。弊社で実際に使っている形をコピペ用に3本置いておきます。
1本目は、会議のあとの定番です。
この議事録ファイルを読んで、決定事項・宿題と担当・期限の3点でまとめてください。そのあと参加者へのお礼メールの下書きを1通作ってください。言葉遣いは「会社の基本ルール」のメモに従い、送信はしないでください。
2本目は、毎月の報告書づくりです。
このフォルダにある先月の報告書と同じ構成で、今月版の下書きを作ってください。まだ数字が分からない箇所は空欄にして【要確認】と印を付けてください。
3本目は、調べ物です。
◯◯について調べて、A4一枚に「結論3行・比較表・注意点」の順でまとめてください。分からないことは、分からないと書いてください。
共通のコツは、「〜しないでください」を必ず1つ入れることと、分からない箇所を勝手に埋めさせないことです。AIのもっともらしい間違いの大半は、この2つの指定で防げます。
うまくいかない会社の2つの共通点
世界95カ国のCEO約4,500人への調査(2026年1月発表)では、AIで「売上増とコスト削減の両方を実現できた」と答えた経営者は約1割でした。使えるツールは同じなのに、なぜ差が出るのか。海外の実践者も同じ整理をしていましたが、私の実感でも、原因はほぼ次の2つに集約されます。
共通点1: 資料室に「ネットの一般論」を入れてしまう
AIは、ネット上の知識を最初から持っています。なので、ネットで拾った営業ノウハウやAI活用術を資料室に入れても、AI社員は1ミリも賢くなりません。価値があるのは、世界であなたの会社しか持っていない情報——商品の実際の説明、過去の見積もり、お客様とのやりとり、そして「うちはこういう時、こう判断する」という基準です。
共通点2: 「どのAIが最強か」を追いかけてしまう
新しいモデルが出るたびに乗り換えを検討するより、モデルの使い分けを人事配置として考える方が成果に直結します。弊社では、仕事の設計と最終チェックは最上位モデル(いまはFable 5)、量をこなす実作業は標準モデルを複数同時に、と役割を分けています。全部を最上位モデルにすると費用と時間が無駄になり、全部を安いモデルにすると品質の管理が人間に返ってきます。会社の人事と同じです。
もしいま、ChatGPTなどを触り始めているなら、それは十分な前進です。順番を変えるだけでいい。ツール選びからではなく、資料室づくりから始めてみてください。

弊社の失敗談——止まって、膨らんで、間違えかけた
きれいな話だけだと信用されないと思うので、実際にやらかした話を3つ、教訓ごと置いておきます。
失敗1: 同期が3日間止まっていたのに、誰も気づかなかった
弊社の資料室は複数のパソコンで同期しています。安全第一で「少しでも様子がおかしければ全部止める」設計にしていたら、些細な引っかかりで同期が丸3日止まり、その間、誰も気づきませんでした。自動化の怖さは暴走ではなく、静かに止まることの方が多いです。以来、「動いていることを毎朝確認できる報告」をAI側の仕事に足しました。自動化には、動いている証拠の見える化をセットにしてください。
失敗2: 道具の利用料が、思わぬところで膨らんだ
SNS運用のためにAI社員へ外部サービスとの連携を持たせたところ、後から料金を見ると、費用の9割が「投稿」ではなく「読み取り」で発生していました。人間なら無料の「眺める」が、道具経由だと課金対象だったわけです。以来、道具を持たせる前に料金の仕組みを確認し、「読み取りには使わない」と資料室のルールに書いてから渡すことにしました。
失敗3: 音声入力の誤変換で、宛名が別人になりかけた
音声入力でAIに指示を出すと、人名がよく似た別の名前に化けることがあります。よくある苗字が一字違いの別の苗字になり、メールの宛先候補が実在の別の方になりかけました。以来、宛先は必ず連絡先台帳と照合して本人を特定してから作業する、という全社ルールを追加しています。
3つに共通するのは、事故のたびにルールが1行増え、それを読むAI社員全員が同時に賢くなることです。人間の組織だと「周知徹底」に何度も朝礼が要りますが、AI社員は次の仕事から全員が新ルールで動きます。失敗が資産に変わる速度は、正直、人間の組織より速いです。

費用の話——いくらで、どこまでやれるのか
弊社の内訳は、おおよそ次の通りです。
- 中心の費用: ClaudeのMaxプラン(月100ドルから・日本円でおよそ15,000円から)。AI社員の「人件費」はほぼここに集約されます
- 道具の利用料: 図解などの画像生成に1枚10円以下。この記事の図解もAI社員がその単価で作っています
- 無料のもの: メモアプリのObsidianは無料、定時実行はパソコンの標準機能、資料室はただのフォルダ
ただ、最初からMaxに入る必要はありません。
- お試し期(最初の1〜2ヶ月): Pro(月20ドル・約3,000円)。使える量に上限はあるものの、議事録・下書き・要約を任せる分には足ります
- 本格運用期: Max(月100〜200ドル)。上限が大きく広がり、複数の仕事を並行して任せられます
冒頭のニュースの意味もここにあります。7月20日から、MaxとTeamの上位プランでは、最上位モデルFable 5が週の利用枠の半分まで追加費用なしで使えるようになりました。「設計は一番良い頭脳に任せて、実作業は標準モデルで回す」という先ほどの人事配置が、月額の範囲で組めるようになった、ということです。
人を1人雇う場合と比べる話は、まだしなくていいと思います。まずは月3,000円で「よく気のつく秘書見習いが1人入った」くらいの期待値で始めて、任せられる仕事が増えたらプランを上げる。この順番をおすすめします。
正直なところ、お金より先に必要なのは「教育期間」の覚悟です。弊社も、いまの形になるまでは赤入れの連続でした。そこを越えると、書き足してきたルールが資産になって効き始めます。

任せてよい仕事・まだ任せない仕事——弊社の安全ルール
AI社員は優秀ですが、位置づけはあくまで新入社員です。入社初日から実印を渡す会社がないのと同じで、弊社では線引きを全社ルールとして明文化しています。実物から4つ紹介します。
- 送信ボタンは人間が押す。メールもSNSも、AIは下書きまで。外に出る文章は人間の承認を通します(文体とルールを固めた定型の発信だけ、検査付きで例外にしています)
- お金と契約の数字は人が検算する。見積書・請求書の金額を、AIの計算のまま出さない
- 機密は最初から区分する。お客様の情報や財務は別フォルダに分け、AI社員が通常業務で読む範囲を決めておく
- 間違いは叱らず、ルールに書き足す。間違いの9割は、こちらの指示とルールの穴です
この4つを決めてから任せると、「AIが暴走したらどうしよう」という漠然とした不安は、「どこまで任せるかを自分で決めている」という感覚に変わります。精神的には、ここが一番大きい変化かなと思います。

よくある質問
Q1: プログラミングができないと無理ですか?
弊社の仕組みの大半は、日本語のメモと日本語の指示だけで動いています。プログラムを書いたのは定時実行の設定など一部だけで、それもAI自身に作らせました。「作れる気がしない」の正体はたいてい最初の設定だけなので、そこだけ詳しい人かAIに手伝ってもらえば、あとは日本語の世界です。
Q2: 最初に何を任せればいいですか?
「毎週やっていて、手順を口で説明できて、間違えても致命傷にならない仕事」から選んでください。議事録の要約、メールの下書き、資料の下調べ、報告書の体裁づくりが定番です。逆に、金額の確定・契約・クレーム対応の本文は、最後まで人の手に残してください。
Q3: 会社の情報を入れて、漏れませんか?
2段構えで考えてください。1つ目はサービス側の設定で、入力した内容をAIの学習に使わせない設定・プランを選ぶこと。法人向けプランはこの点の扱いが明確です。2つ目は社内側の区分で、そもそも「AIに読ませないフォルダ」を最初に決めることです。弊社も、お客様の連絡先や財務はAI社員の通常業務から切り離しています。
Q4: WindowsでもMacでも使えますか?
使えます。Claude Codeには、パソコンのアプリ版(Windows/Mac)とブラウザ版があり、どちらもサインインすれば始められます。
Q5: 社員に「仕事を奪われる」と思われませんか?
任せる先を「誰の担当でもないのに、誰かが残業で吸収していた仕事」から選んでください。日報の整形、議事録、情報収集。ここから始めると、AI社員は敵ではなく「面倒な仕事を引き受けてくれる後輩」として受け入れられていきます。1人の社員に1つの業務で試すのが、定着の近道です。弊社の支援先でも、この入り方をしたハウスメーカーで、AIエージェント導入により一人当たり月20時間以上の業務削減につながった例があります。
Q6: ChatGPTをすでに使っています。乗り換えが必要ですか?
乗り換えは不要です。「聞くAI」としてのChatGPTと、「任せるAI」は併用が普通で、ChatGPT側にも同じ方向のツールがあります。ただ、最初の1人目のAI社員はどれか1つに絞った方が、ルールの書き足しが1箇所で済み、教育が早く進みます。
Q7: AIが変な方向に走り出したら、どう止めるんですか?
作業中はAIの行動が画面に逐一表示され、いつでも途中で止められます。それより効くのは、最初のルールに「迷ったら作業を止めて、選択肢を2つ出して相談する」と書いておくことです。弊社の体感では、派手な暴走よりも「静かに間違い続ける」方がずっと起きやすいので、途中経過を報告させる習慣の方が大事です。
Q8: 外出先やスマホからも頼めますか?
できます。ブラウザ版があるのでスマホからも指示できますし、弊社では社内の進捗が見えるダッシュボード画面を作って(これもAI社員に作らせました)、外からチャットで指示を送れるようにしています。ただ、最初の1ヶ月はパソコンの前で一緒に仕事をする感覚で使う方が、教育は進みます。
まとめ——AI社員は「雇う」ものではなく「育てる」もの
要点を3つに絞ります。
- AIに仕事を任せる鍵は、賢いAIではなく「会社の資料室」。ルール・部署・手順書のメモを、AIが読める場所に置く
- 作り方は3ステップ。フォルダを作る→Claude Codeで開く→頼んで、直して、ルールに書き足す。月3,000円ほどのプランから始められ、外に出る直前だけ人間の関所を通す
- うまくいかない原因は2つだけ。一般論を入れない・最強探しをしない。自社の事実を入れて、モデルは人事配置で使い分ける
種明かしをもう1つだけ。この記事の下書きと図解も、弊社のAI社員の仕事です。私の役目は、事実の確認と赤入れ、そして公開ボタンでした。作り話ではない証拠として、これ以上のものはないかなと思います。
今日の一手は、パソコンに「AI資料室」フォルダを作り、会社の事実を1枚のメモに書くことです。15分で終わります。これはAIのための作業に見えて、実は「うちの会社の仕事は何で、何を守りたいのか」を言葉にする作業です。なので、たとえAIの導入が半年先になっても無駄になりません。
まずはちょっと、メモ1枚から始めてみてください。弊社のAI社員10名も、最初はその1枚から生まれました。

弊社WizTryは熊本を拠点に、企業向けの生成AI研修とAIエージェント導入支援を行っています。この記事のような仕組みを自社でも作ってみたい、まず何から始めればいいか相談したい、という方はサービス案内や導入実績をご覧ください。研修をお探しの方には熊本の生成AI研修、仕組みづくりから任せたい方には熊本のAIエージェント導入支援のページにまとめています。